『テッド』男そのボンクラな生き物を愛するということ

1月21日、月曜日、二条にて。ほんとは前々日の土曜日に行くはずたったのですが、夜の最終回がまさかの満席!惜しくも日を改めたのでした。この日も平日ながら相当混んでましたよ。映画マニア、ましてやアメリカン・コメディの熱心なファンというわけではなく面白そうだからって観に来たお客さんが多かった印象。いいことですね。

奇跡により魂が吹き込まれたクマのぬいぐるみテッドだが、持ち主のジョンとともにもはや中年に。ジョンの恋人であるロリーはテッドの存在が、彼氏に悪影響を及ぼしてると、2人に別居を求める・・・という話。

ゼロ年代以降のアメリカ映画の大きな潮流となっている男性同士の友情ラブコメ=ブロマンスに『マペッツ』を盛り込んだような作品でした。いつまでも大人になりきれない男がやがて成長するという安定の展開に、テッドのあまりの愛らしさと、そのギャップとして下劣な下ネタ、薬ネタを加味したことで、フレッシュさを担保できたのが勝因だったと思います。80年代パロディや映画ネタはかなりリテラシーが要求されているははずですが、場内には笑いが絶えなかったです。

既存のブロマンス作品や『マペット』と異なる点は、ボンクラ男性のパートナーである女性をより掘り下げていた点ではないでしょうか。ロリーは恋人のテッド的な側面を、一度は成長を留めている諸悪の根源として切り離そうとするんですが、やがてその人の持つ最もチャーミングなところと不可分であると気づいて、より深く相手を愛することができるようになるんですよね。そんな夢みたいな女性像に説得力を持たせた、ミラ・クニスの好演が光ってました。女性が観てもぐっとくるポイントがたくさんあるんじゃないかな。