『オズ はじまりの戦い』 ひとりと、いっぴきと、いったいの、まじょたいじ珍道中

3月23日、土曜日、二条にて。ドサ回りの手品師オズが嵐に巻き込まれ、見たこともない世界にたどり着く。そこで予言に書かれた魔法使いと勘違いされた彼は、悪い魔女を倒すことになってしまうが・・・というはなし。

予言に書かれていたとはいえ、最初にオズと出会う魔女セオドラを筆頭にこの世界の住人が、なぜかくも彼を救世主と盲信しているのかが、よくわからなかったりするのですが、ジェームズ・フランコ演じるオズのとりあえず安請け合いするキャラが映画の推進力になってました。頭より口、口より股間がまず動く主役は、ジェームズ・フランコの持つ、軽さ、薄さ、ちゃらさにマッチしてて説得力ありましたよ。

でも、このオズみたいに、まずやるって言って、そのあと方法を考えるってのも案外大事だよなーと思ったり。決断することで、周りにも動きがでて、その振動からブレイクスルーへの裂け目が生じたりするわけで。そして、オズのそうした言動が繰り返し描かれていたからこそ、目先の利益と見栄でほいほい引き受けてきた男が、心の底から申し訳ない表情を浮かべて「ごめんよ、できない」というシーンが、この映画のもっとも感動的な瞬間でした。

とにかく最高だったのが、猿のフィンリーと陶器の少女。猿の顔芸のおかしさ、少女の挙動の可愛らしさといったら!オズ以外の人間のキャラに関しては落とし所も含めてどうかと思うところが多いし、正直作り手からの愛情があまり感じられないのですが、この2者はほんとうにイキイキとしていて、楽しませてくれました。できることならオズとフィンリーと陶器の少女の珍道中をもっといっぱい見たかったなあ。