感想『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』

TOHOシネマズ二条にて。英国のスパイ、ジョニー・イングリッシュは、警護にあたっていた要人を暗殺されたことから、チベットの僧院で心身の修行をしていた。そんな彼に新たなミッションが舞い込み、8年ぶりにロンドンに渡る…というあらすじ。

そんなに期待もせず、なんとなく映画館で楽しめればいいやといったノリで観に行ったんですが、それでもやはりこれはちょっとつまんなかったです。もちろんクスクス笑えるところもあったんですけどね。特に香港で暗殺者を追跡するシーンは、がむしゃらに逃げる暗殺者に、顔色一つ変えず、全くがんばらずに追いつくジョニインという、チベット修行の成果である知恵と平常心というのを、コミカルにヴィジュアル化できていて、なかなか良かったです。

ただ、香港シーン以降はどういうわけか、もはや修行なんかなかったかのように、主人公はただただドジな奴になっちゃうんですよね。そして、人違いをして関係ない老婆をとっちめたり、洗脳ドリンクを気づかずに飲んだりといった、単発のバカが笑いの中心になってしまうんです。そのドジが予想もつかなかった好転へと導くといったトリックや、シチュエーションを使った演出ではなく、ローワン・アトキンソンのおもしろげな雰囲気と馬鹿げた失敗でのみ笑いをとろうとする。でも、それは一瞬のおもしろそうな雰囲気であって、映画ならではの構築された笑いではない。どちらかと言えば苦笑でした。

とにかく脚本が巧くないんだと思います。ジョニインにとっての、トラウマとなっているミスの全貌が途中で明かされるんですが、そこでの過ちが今任務の最終的な決着のつけ方とまったく関係ないため、克服や成長がない。本来ならチベット修行がそこで活きてくべきはずが、結果的にネタとしてしか意味をなさない。ゆえに、主人公を応援しようという気になれず、物語にもはまれない。前述した香港シークエンスなど、序盤はちゃんと物語が機能していただけに、中盤からのほっぽり出し=どうでもいいやーってなっちゃうのが残念でした。


香港パートはここもおもしろかったです。『メガネをかけたやつ!』