感想『ヒミズ』

京都シネマにて。ちなみに原作は読んだり読んでなかったり、でも結末は知ってたりって程度。思い入れはありません。

虐待や震災といった劇薬を盛りつつも、プロット自体は、男の子と女の子が次第に魅かれあうという、典型的なボーイ・ミーツ・ガールものだと思うんですよね。ただ、実際のことろ最後までその根幹を成す二人にノることができなかった。各々の二人は悪くないんですよ。住田くん役の染谷将太、茶沢さん役の二階堂ふみ、いずれも顔つき、スクリーン映えする身体性ともすごく良かったです。演技自体の質は、でんでんや渡部哲といったほんとに巧い人が共演されているなかで、騒がれるほどは高くないと感じたんですが、その自分に無理を強いて演技せざるをえない感じは、劇中の中学生という年頃の設定にははまっていたと思います。自分の中学生時代なんて、浅い海外かぶれでまあ思い出さないくらい痛かったもの。

けれども、なぜこの二人がカップルたりえなければならないのかという必然を感じ取ることはできませんでした。だから、スクリーン上の恋人たちをどうも応援することができなかった。親の愛を受けとれない子供という共通項はあったのかもしれませんが、どうして茶沢さんが住田くんにあそこまで執着するのかがわかりませんでした。茶沢さんは、映画の最初から最後まで、盲目的に住田くんを愛し続けている状態なんですよね。だから、あんまり親しくない人の現在進行中の恋バナをずっと聞かされている感じというか。鑑賞者が茶沢さんを親友のように思えたなら別だと思うんですが。

そう思えさせれなかったのは、一つの必要な描写が決定的に抜け落ちていたからだと思います。そして、それは茶沢さんが住田くんへと恋に落ちる瞬間を捉えたものなのではないでしょうか。


二人のルックはね、ものすごく良いんですよ!