感想『アクシデント』

新京極シネラリーベにて。この映画館、毎回予告編ではスクリーン左下の映像が曲がってたり、そもそもスクリーンが若干反ってたりと、今時あんまりないくらい場末感の漂う劇場なんですよね。映像の発色もものすごく鈍いし。ただ、個人的にはその傷んだムードは好きで、そこで観てばっちしはまった映画もあります。特に昨年の『ウィンターズ・ボーン』はこの劇場で観たことで、他の劇場で観たよりも特別な映画になったような。このまま続いてほしい映画館です。

さて、『アクシデント』。僕がジョニー・トー作品に目覚めたのは去年からなので、完全に後追いなんですが、もはやトーさん関係の映画は日本で公開される限り絶対観に行くべきだと思っていますので、公開決定から楽しみにしていました。しかも、事故に見せかけて証拠を一切残さず依頼をこなす暗殺チームのストーリーとは、どんだけおもしろそうなんだろうだ!って。

実際はチーム感はあんまりなくて、むしろその崩壊と、ブレインであるルイス・クーが疑心暗鬼に囚われていく様が中心に描かれていました。このルイス・クーの壊れゆく男っぷりは、かなりおもしろかったです。何を見ても自分が狙われてる疑惑に結びつけてしまうという。ただ、結末がちょっと意外なほど悲劇に着地してて、それはあまりにちょっとちょっとと思いました。


リッチー・レンを疑いまくるルイス・クー「お前ダナ!」